ナショナル T-45

中波/短波2バンド 小型7石スーパー

 1960年頃の製品と思われる.中波は540~1600kHz,短波は3.9~12MHzの2バンドでバンド切り替えはフロントパネルのスイッチで行う.単3電池×2本で動作し,低電圧で動作するT-45は当時は先進的なモデルだったと思われる.T-45の基本構成は発振混合段 ⇒ IF増幅2段 ⇒ 低周波増幅3段(終段はp/p)の7石

NATIONAL T-45
T-45の銘板
NATIONAL T-45の革ケース
革ケースを取り付けたT-45

 中波/短波ともフェライトバー・アンテナで実用時な感度を実現している.短波は強い信号なら外部アンテナなしでも入感し,外部アンテナとして付属のロッド・アンテナを接続すると実用的な感度となる.本機には革ケースとアクセサリケースが付属していた.純正品と考えられるイヤホンと外部ワイヤ・アンテナが入っていた.

NATIONAL T-45の付属品
純正と思われる付属品


 選局ダイヤルの表示が小さいので,短波は微妙な操作が必要となるが,ラジオ日経や近隣国から日本語放送受信などの用途には十分.3V機なので音量も小さいかと思いきや十分な音量がある.

NATIONAL T-45の内部
T-45の内部
短波でもゲインがあるバー・アンテナ

購入時の状態-
 これは動作未確認品として出品されていたもの.革ケースとロッド・アンテナが付属しており,60年近く経過したものでは外観の状態が良いといえる.ただし,アンテナ取り付け部にはひび割れがあり,電池ケースが電池の液漏れで腐食していた.電極を磨いて電池を入れてみると不動品.

-修理初日-
 455kHzを入力するとかすかに音がすることを確認.VRにAF発振器から400Hzを入力してもかすかな音が鳴るだけ… 信号をトレースしてみると初段のカップリング・コンデンサが容量抜けをしている様子.交換してみると次段のカップリング・コンデンサも容量抜けの様子.またエミッタのパスコンも容量抜けでコレクタ電流が少ない.
 できれば避けたいが,同型の電解コンデンサが実際に不良となっているので全数の交換に踏み切った(これには糸掛けダイアルなども分解が必要).プリントパターンを痛めないように慎重に該当パターンからはんだを抜き電解コンデンサを1つずつ交換していく.一気にやると不具合の変化がわからなくなるので1個交換ごとに通電して変化を確認していく.6個を交換するのに3時間近く掛かった.交換前は10mAだった電流が50mAまで増加したことと十分な音量が出ていることを確認して終了.

NATIONAL T-45の電解コンデンサを外す
該当箇所のはんだをソルダーウィックで抜く
NATIONAL T-45の電解コンデンサを交換後
電解コンデンサを交換してはんだ付けした
NATIONAL T-45の電解コンデンサ
出来れば避けたかった電解コンデンサの交換
5μFのものは500pF位に劣化しており交換は必須だった

修理2日目-
 455kHz(30% AM変調)を入力して,IFT調整を行いここまでは順調.しかし中波/短波ともに受信ができない.局発は発振しているが,バリコンを回しても発振周波数が変わらない… 回路図はない.
 この原因を探ること数時間,局発側のバリコンの配線がされていないことを発見.誰かが修理に挑戦して配線を誤ったようだ.誤った箇所に接続された,局発バリコンの配線を修正し中波の受信を確認して終了.

-修理3日目-
 短波の受信ができない.これも中波同様局発は発振しているが,バリコンを回しても発振周波数が変わらない… この原因もMW/SWバンド切り替えスイッチ付近の配線ミスのようだ(結線箇所も違っていた).この部分は狭い箇所にバンド切り替えSWと4個のトリマデッキが並ぶ,超過密配線となっている.怪しい配線をやり直してみる.あっという間に数時間が経過.

NATIONAL T-45のバンド切り替えスイッチ周辺の配線
結線を違っていたバンド切り替えの配線
小型だけに配線はとても入り組んでいる


 何とか帳尻合わせができたようで短波も受信できるようになった.ここでダイヤル糸を張り直し,中波/短波それぞれトラッキング調整を行う.春の三連休はT-45に掛かりっきりとなった(マイナスねじと戯れるのも頭の体操となる).

NATIONAL T-45の糸掛け
組立時に新品のダイヤル糸に掛け換えた

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