SONY TR-910

高周波増幅(同調付き)搭載 中波/短波2バンド 9石スーパー

TR-910の銘板
TR-910の銘板

-1962年の高性能機-
 1962年の製品と思われ中波は535~1605kHz,短波は3.9~12MHzの2バンドの高級ラジオ.3連ポリバリコンを使ってアンテナ入力/高周波増幅出力/局発周波数を同期しながら同調を行う.本機は9石構成とし,同調回路付き高周波増幅・他励局部発振・ダイオードミキサ・中間周波増幅2段・トランジスタ検波・4石の低周波増幅段を持つ.本機は初段IF増幅段で2個のIFTを使用して複同調として選択度を上げている.本機は初段IF増幅段のコレクタ電流が信号強度で変化すること利用してチューング・メータとしている(本機のバンド切り替えのつまみは欠品のため古いレコードプレイヤーから流用した).

TR-910の内部
TR-910の内部

-3連ポリ・バリコン搭載の高級機-
 フロントパネルにファイン・チューニング(局発周波数のみ可変)とメイン・ダイヤルのつまみが設けられている.周波数表示は波長直線形の3連ポリ・バリコンを使用し,均等に近いものとなっている.選局機構はギア・トレインと糸掛けを併用したものが使われ減速比も高いので選局も容易.
 電源スイッチを兼ねる音量と音質も配置されており,それぞれの位置がインジケータとして表示される.

搭載されている3連ポリバリコン
搭載されている3連ポリバリコン
各操作はフロントパネルに装備される
各操作はフロントパネルに装備される

-TR-910の性能-
・効果的なプリセレクタ
 非同調の高周波増幅段とは異なり,本機で短波を受信するとその静かさに驚くだろう.高周波増幅段の出力同調回路によって不要な信号をカットするので(プリセレクタ機能),局間のノイズが驚くほど少ない(感度が低いと誤解する人もいるだろう).7MHzくらいまでの周波数ではイメージ妨害比は40dB以上と思われる.この効果は受信信号が浮かび上がるといった感じで受信できる.これはダイオードを使った周波数変換によって混合歪を低減させている効果もあるのだろう(受信機はカタログ上の感度ではなく,不要な信号を減衰させることも大切).
 短波帯では多くの強力な放送がひしめいており,これらの組み合わせによる相互変調も多い.通信型受信機ではこうした信号を排除するしくみが重要視される.TR-910でも目的外の信号が減衰され,ゲインが高い外部アンテナを用いても目的の周波数が受信できる後世のBCLラジオとは異なる性能.厳しいコスト管理がなされる家庭用ラジオでは,ここに多くのコストは掛けられないのだろう(もしくはイメージ信号や相互変調の信号であれ数多く受信できた方が感度がよいと思う方も多かったのかも知れない).
・ 短波帯に対応したバー・アンテナ
 1970年代中盤以降の短波ラジオの多くは,短波帯のアンテナはロッド・アンテナや外部アンテナが受け持つようになるが,この年代のものは短波帯に対応したバー・アンテナを備えており(これもコストが高いと思われる),これだけでも短波受信が可能(感度不足時にロッド・アンテナを使う考え方).家庭用ラジオとしては選択度も高い.
・ 中波帯の受信
 本機は中波帯の受信も局間のノイズが驚くほど少ない.長いバー・アンテナを内蔵しているので中波の感度はとても高い.さらに中波帯に使える良質な外部アンテナがあればアンテナ端子に接続が可能.
・ 気になる点
 メイン・ダイヤルとファインチューニングの位置が近すぎる点と(選局操作中に指があたってしまう),電池のみの電源だろうか(ただし消費電量は少なく,普通の音量では6V/100mA以下なので電池寿命は長い).

-購入時の状態-
 これも動作未確認品として出品されていたもの.ケースが変形しており電池ふたとバンド切り替えノブが欠品でケース内外の汚れは年相応のもの.電池の液漏れによる腐食を磨くこととで電源投入はできた.
 幸運なことに回路は動作したので,調整箇所のパラフィンを丁重に除去した上で慎重に調整を行った.

アンテナ段・高周波増幅出力段・局部発振それぞれ中波と短波で調整を行う
アンテナ段・高周波増幅出力段・局部発振それぞれ中波と短波で調整が必要

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