ナショナル RF-858D

-GX World boy-
 1971年頃に登場したGX World boy.RF-858Dは中波/短波/FMの3バンドで,RF-858にNSB(現在のラジオ日経)用のクリスタル端子が追加されている.

RF-858Dの銘板
RF-858Dの銘板

-搭載される機能-
 中波:530~1605kHz/短波:3.9~12MHz/FM:76~90MHzと受信範囲は標準的なもの.メータはチューニング(無信号時は電池残量を示す)/VUをスイッチで切り替えることができる.選局機構は糸掛け式.
 音質調整は当時のWorld boyが備えていた1レバー・タイプで中音-低音-高音と調整するタイプ.さらにラウドネス回路を備える.FM AFC ON/OFF・MW DX/LOCALの切り替えスイッチを備える1970年代初頭のラジオでは高機能なもの.また全体に精密感がありスイッチなどの感触はとてもよい.
 現代の安普請なラジオとは異なり,小型ラジオながら見事な音作りがされている.良く補正されたラウドネス回路はBGMとして最適で.さらにに音量を絞っても奇麗な音なのでスリーピング・ラジオとしてもお勧めできる.

上部に配置された操作部
上部に配置された操作部
MPXアダプタを接続したSTEROを意識した外部端子
MPXアダプタを接続したSTEROを意識した外部端子
RF-858Dの内部
RF-858Dの内部

-標準添付と思われる外付けタイマー-
 外付けタイマーをビルトオンすることで,60分のスリーブタイマーが使用できる.ゼンマイ仕掛けでダイヤルが戻るタイプ.ジリジリ音は小さく,スリープタイマーとして店主は今でもよく使用する.

スリープタイマーの脱着が可能
スリープタイマーの脱着が可能
セットした時間でダイヤルが元の位置に戻り電源が切れる
60分にセットした状態
セットした時間でダイヤルが元の位置に戻り電源が切れる
60分にセットした状態

-気になる感度-
 1970年代初めには,こうしたラジオの回路技術は完成の域だったと思う.FETを用いた非同調のRF増幅回路が搭載され,IF増幅段にはICが使われている(AM/FM共用).全体的な感度はその後に発売されたラジオと同等.アンテナ回路はハイインピーダンスと思われ,短いアンテナでも感度は高い(特にFM).ただし外部アンテナ端子はない.
 こうした技術がクーガ・シリーズに受け継がれ,実際にRF-888と比較しても感度・選択度・安定度は同等と思う.

全バンドの高周波増幅段(非同調)に使われる2SK37
全バンドの高周波増幅段(非同調)に使われる2SK37
全バンドのIF増幅を行うIC(AN203)
このICはセラミック・パッケージか
全バンドのIF増幅を行うIC(AN203)
このICはセラミック・パッケージと思われる

-修理と調整-
 ジャンク品を購入したもの.本機は電池を入れたまま長期間放置されたと思われ,液漏れで電池室とケースの下回り一面が茶色になっていた.幸運だったのは基板まで液漏れが浸食していなかったこと,スピーカと電源周辺の修復で電源の投入が可能となった.
 経年変化で各種調整もズレているので,中波/短波/FMそれぞれを調整した.本機のポイントは非同調の高周波増幅段の調整と思う.またFMのS字特性(ディスクリミネータ)は周波数偏移幅±75kHzでも調整することでさらに歪み感が少なく聞こえる.

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