ナショナル RQ-448

ラジカセ MAC FF-
 1973年頃に発売されたナショナル MAC FF(RQ-448)は中波/短波/FMの3バンドラジオを搭載したいわゆる「ラジカセ」.RQ-448は専用ワイヤレスマイクを本体に収納しており,カセットテープの音声や受信したラジオ放送をFMで送信することできた.本機のカタログには「Full Function First Fashion」と大きく記載されていた.

専用ワイヤレスマイクをポップアップしてFM送信できる(10mほど)
専用ワイヤレスマイクをポップアップしてFMで送信できる(10mほど)
RQ-448の内部
RQ-448の内部
  • ラジオとしてのRQ-448 –
    ・ ラジオの機能は標準的なもの
     中波:525~1605kHz/短波:3.9~12MHz/FM:76~90MHzと受信範囲は標準的なもの.
    選局機構は糸掛け式の指針が動くタイプで,ラジオ時のメータはチューニングメータとなる.銘板の横にNSB(現在のラジオ日経)受信用のクリスタル端子があり,NSBクリスタルを使用すると簡単にラジオ日経が選局ができる.
     FM AFC ON/OFF・MW DX/LOCALの切り替えスイッチはなくFM時は常にAFCがONとなる.多機能ラジオに慣れると違和感があるが,実用上の問題はない.
銘板とクリスタル端子
銘板とクリスタル端子

・ 高感度で高音質なFM
 RQ-448のFM受信部は非同調の高周波増幅段とIF増幅3段(FM用IFTは4個)を備える.この構成によってFMの感度は現在でも驚くほど高い.
 FM受信時はAFCが常が動作するため,選局も楽にできる.この背反として遠距離の放送を聞く場合は近隣周波数で強い信号に同調されてしまいFMの遠距離受信には向かない.FMの音質はとてもヌケのよい現代的な感じ.

・ 短波も中波も以外と高性能
 長いバー・アンテナを内蔵しているため,中波と短波(ロッド・アンテナはハイインピーダンスーダンス・タイプと思われる)の感度は高い.ただし外部アンテナ端子はない.
 中波と短波は高周波増幅段はないが,IF段の性能が高く十分な感度と選択度と感じる.これは同時期の多機能(BCL)ラジオと比較しても同程度のもの.
 糸掛け式で指針が動く選局機構で,減速比はあまり高くないので選局は微妙な操作となるが短波ラジオとしても使える.

  • RQ-448のFMワイヤレスマイク –
     本体に収納される専用FMワイヤレスマイクが本機の特徴.これは下側に2つの端子が付いており,このマイクを内蔵マイクとして使う端子とFM送信する音声入力端子となっている.格納時には本体収納部のプラグと接続される.
     このワイヤレスマイクをONにすることで,テープやラジオの音声がFMで送信される.ワイヤレスマイクを使ったミキシングはテープ再生時にラジオ音量を調整するしくみ(ミキシングをONにするとテープ再生時にラジオの電源も入る).当然ながら到達距離は10m以下.
本体に収納される専用FMワイヤレスマイク
専用FMワイヤレスマイクをポップアップした状態
専用FMワイヤレスマイクをポップアップした状態
専用FMワイヤレスマイクの端子
収納時は本体とこの端子で接続される
専用FMワイヤレスマイクの端子
収納時は本体とこの端子で接続される
本体の収納部に貼り付けられているコーション・ラベル
本体の収納部に貼り付けられているコーション・ラベル

-修理と調整-
 ジャンク品を入手したもの.長年の放置で電池の液漏れや各スイッチの接触不良などで不動品.せっかくなので,カセット・メカの分解清掃と各ゴムベルトを交換も行った.時間を要したがカセット部も完動とした.
 本機は意外とカセットテープの再生音質も奇麗な音質で現在でも通用すると思う.モータの電源を切るポーズ・スイッチは残念だが,現在ではカセットでポーズを使うこともないので良いと思う.3バンドラジオとしても絶品の一台

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