三菱 5P-220の修理例(修理前の確認編)

※ これはあくまで店主の事例です.真空管ラジオのメインテナンスは感電のリスクがあり,それなりの経験が必要です ※

-状態確認から-
 以前ジャンク品で購入していた三菱 5P-220の状態を確認してみた.外装の写真は一見きれいには見えるが.数10年は電源は入っていないと思われ電源プラグは錆ている.
 裏蓋を外して内部をみると土埃が堆積している.まずはヒューズの導通とホルダの状態を確認して,軽くワイヤブラシで清掃を行う.多くの真空管ラジオでは回路図がケースの下や内側に貼り付けられているので,デジタルカメラで撮影して置くとよいだろう.

錆びた電源プラグ
錆びた電源プラグ
ヒューズとホルダも最初に確認する
ヒューズとホルダも最初に確認する

-操作部の動作-
 同調つまみの回転は渋く,周波数表示指針はスリップして円滑には動作しない.バンド切り替えつまみと電源/音量つまみは操作が可能.少なくとも同調機能のメインテナンスは必須.

修理前の本機の状態.きれいに見えるが土埃だらけ
修理前の本機の状態
きれいに見えるが土埃だらけ

-火入れの前に-
 回路図で電源部を確認する.電源プラグの抵抗値の確認は必須であり,もし内部でショートしていた場合は発煙事故などにもつながる.まずは,テスタで電源ON/OFFの抵抗値を測る.一般的なトランスレス5球スーパーなら,全ての真空管のヒータが動作する場合は電源ON時の抵抗値は数100Ωとなる(真空管のヒータは直列接続されているため).
 この段階で異常があるなら,フィルタ・コンデンサのショートや真空管の差し間違えなどの可能性があるので,きちんと対処が必要.ジャンク品は誰かによって改造されている場合や,逆に壊されている場合もある.

電源OFF時の抵抗値は27MΩだった
電源OFF時の抵抗値は26MΩだった
電源ON時には約600Ωだった

-火入れのセレモニー-
 スライダックでAC10V程度を電源として加えてその電流をモニタする(数mA程度).ここで一部の真空管が点灯しないことを確認する(もし真空管の差し間違えや,規定外のものが取り付けられていると点灯する場合がある).もし回路に異常があっても,この電圧なら被害は広がらない.

 次にAC25V程度に電源電圧を上げて,電流をモニタする.ここでは数分程度コンデンサと真空管に異常がないことを確認する(ヒータはこの電圧では光らない).その後にAC50V程度に電圧を上げてヒューズなどに異常がないことを確認する(AC50V程度なると各真空管のヒータが暗く光り出す).

 回路が正常なら,AC70V程度に電源電圧を上げるとスピーカからハム音が聞こえてくる.ここまで異常がなければ,AC100Vに接続を行うことが可能と判断できる.

-動作テスト-
 5P-220にはPH端子があるので,そこに低周波信号(400Hz -40dBm程度)を繋げて低周波増幅段の確認を行った(感電には留意する).比較的きれいな音が出て,音量つまみと同期することを確認する.本機は低周波増幅段とスピーカはとりあえずは動作しているようだ.
 しかし,断続的に「ジャージャー」というノイズと「バサッバサッ」というノイズが聞こえるので,原因究明は必要.同調機能はメインテナンスが必要だが,中波で受信が出来ることを確認.短波は受信不能.

低周波増幅段の動作確認
低周波増幅段の動作確認

-シャーシの取り外し-
 キャビネットからシャーシを取り外す.真空管ラジオでは周波数表示の指針を外すか,指針をダイアルの逃げ部から抜く(本機のこの方式)必要がある.この作業を慎重に行わないと糸掛けダイアルの糸を切断してしまうので注意が必要.ジャンク品にはダイアル糸が切れたものが多く,多分修理に挑戦してダイアル糸を切ってしまい修理を断念したものが多いと思われる.

指針をダイアルの逃げ部から抜く
指針が円滑に動作しないので斜めになっている
指針をダイアルの逃げ部から抜く
指針が円滑に動作しないので斜めになっている

 修理に取りかかる前にキャビネットは中性洗剤で水洗いを行い修理中にしっかり乾燥させる.シャーシはエアーと筆で丁寧に埃を除去する.一度に真空管を抜くと差し間違えの原因となるので,一本ずつアルコールで清掃を行い元の位置へ取り付ける.トランスレス・ラジオで真空管を差し間違えて電源を入れると,ヒータを切らすことがあるので注意.

スピーカ部に堆積した土埃
スピーカ部に堆積した土埃
土埃が堆積した12BE6
土埃が堆積した12BE6
外したツマミやねじ類は分別して保管する
外したツマミやねじ類は分別して保管する

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