三菱 5P-220の修理例(同調機構編)

※ これはあくまで店主の事例です.真空管ラジオのメインテナンスは感電のリスクがあり,それなりの経験が必要です ※

-シャーシの清掃-
 ダイヤル指針を注意深くキャビネットから外して,シャーシを取り出す.長年の土埃が堆積しているので,外でエアーダスターと筆などで清掃する.
 多くの5球スーパーの,12AV6(トランス式の場合は6AV6)は金属板でシールドがされている.これは慎重にシールドを取り外して清掃をする.清掃後に同調機構がスムーズに動作するかを確認する.本機の場合は全体に動きが渋く,選局軸が空回りをしてしまうのでメインテナンスが必要.

土埃が堆積した5P-220のシャーシ
周波数変換を行う12BE6のみ清掃済
土埃が堆積した5P-220のシャーシ
周波数変換を行う12BE6のみ清掃済
金属板でシールドされた12AV6
金属板でシールドされた12AV6
これは検波と低周波増幅初段を行う

-選局機構の確認-
 メインテナンスの前に,必ず糸掛けの様子を写真に残す(特にプーリ部とダイヤル軸への糸巻き数).もし同調機構を分解した場合や,メインテナンス中にダイヤル糸を切ってしまった場合はこれが大変参考になる(回路図に貼り付けられている糸掛け図は略図).

作業前に糸掛けの様子を写真に撮る
作業前に糸掛けの様子を写真に撮る


-できればオーバーホールすべき-
 数十年以上放置されていたと考えられる回転部は本来であれば,分解した上で固着した油分を洗い流してダイヤル糸を新品に掛け替えるべきだろう.本機のダイヤル糸はまだ柔らかく,擦れてやせた部分は見当たらなかったので,分解せずに給脂で対応することにした.

-給脂すべきポイント-
・してはいけないこと
 接点復活剤やCRC-556などの潤滑剤は絶対にバリコンにスプレーしないこと,これらがバリコン羽根に付着すると容量が変化してしまい.バリコンが使えなくなる.特に分解不能なポリ・バリコンでは再起不能の致命傷となるので注意.

・ダイヤル指針のレール
 ここは摺動部の面積が広く,長年の塵や埃がそしてさびなどが堆積されている可能性が高い.レールのダイヤル指針が動く範囲を軽くペーパ掛して,レールの摺動部に極薄く白色ワセリンがグリースを塗る.

ダイヤル指針のレールを清掃して極薄く白色ワセリンを塗る
ダイヤル指針のレールを清掃して極薄く白色ワセリンを塗る


・バリコンのロータ軸
 本機ではバリコンのロータ軸にボール・ベアリングが使用されている.ここにピンセットの先端に付けた潤滑剤を極少量を塗り,数度回転させてベアリング全体を潤滑する.その後に極少量のモリブテン・グリスをピンセットの先端に付けて給脂する.
 ベアリング部の反対側の軸受けにも,ピンセットの先端に付けた潤滑剤を極少量を塗る.本機にはロータ羽根の水平位置を調整するねじがあるが,これには触れないようにする.

モリブテン・グリスで給脂したバリコンのポール・ベアリング
モリブテン・グリスで給脂したバリコンのポール・ベアリング
ロータの軸受け部に極少量の潤滑剤を塗布する
ロータの軸受け部に極少量の潤滑剤を塗布する
ロータ羽根の水平位置を調整するねじ
通常のメインテナンスでは触れないほうがよい
ロータ羽根の水平位置を調整するねじ
通常のメインテナンスでは触れないほうがよい

・同調つまみなどの軸
 絶対にダイヤル糸にオイルが付着しないように,慎重にピンセットの先端にミシン油を付けて給脂する(CRC-556などは短期で揮発するため).ダイヤル糸にオイルを付着させると軸を洗浄した上で,ダイヤル糸の交換が必要となる.自信がないなら,同調機能を分解して給脂した方が早いかも知れない.一連の作業を行い円滑に最小周波数~最大周波数まで同調機構が動作することを確認する.

ダイヤル糸にオイルが付着しないように慎重に給油する
ダイヤル糸にオイルが付着しないように慎重に給油する

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