ナショナル RF-541の調整例 AM編

 多くのラジオでは中波と短波の中間周波数(IF周波数)は455kHzとなっている.6石スーパーを含む多くのトランジスタ・ラジオでは中間周波(IF)増幅は2段となっており,IFTは3個としたものが標準的(セラミック・フィルタを使ったものは1~2個).ラジオを含むスーパーヘテロダイン受信機の感度と選択度はIF増幅段の性能が左右する.この調整が規定通りなら本来の性能を発揮し,逆に高級機でも離調しているものは驚くほど性能が低い.

中間周波数-
 一般的なラジオでは,その局部発振(局発)周波数は受信周波数より455kHz高い周波数で発振する.首都圏のNHK-R1の送信周波数は594kHzなので,これを受信する場合の局発周波数は594+455=1049kHzとなる.局発周波数と受信周波数の差が中間周波数(IF周波数)として,発振混合段から出力される.多くは455kHzとなっている(安価な海外製のものには465kHzなどもある).

-IFTとは-
 これはIF周波数を,効率良く増幅をするための同調回路が付いたトランス(Intermediate-Frequency Transformer)で,これにより目的外の周波数を除去するとともに,次段の回路とインピーダンス整合を行い効率よく回路を動作させるもの.多くラジオではAM用のIFTは以下のとおりとなっている.これらによって感度と選択度を確保する重要な要素部品.

① 黄色のコア
 黄色のコアを用いたIFTは発振・混合段の出力から455kHzを抽出して次段に伝える.

黄色のIFT
混合段の出力から455kHzを抽出する

② 白色のコア
 白色のコアを用いたIFTは初段のIF増幅を行った信号から455kHzを抽出して次段に伝える.

白のIFT
初段のIF増幅を行った信号から455kHzを抽出する

③ 黒色のコア
 黒色のコアを用いたIFTは検波段へ455kHzを伝える.

黒のIFT
次段のIF増幅を行った信号から455kHzを抽出して検波段に伝える

-IFT調整-
 調整には455kHzに400Hzで30%の振幅変調をした信号が必要で,最低でもテストオシレータと呼ばれる信号発生器が必要.この信号を何らかの方法でラジオに入力する(専用のループ・アンテナを用いるのが本来の手法だが、リード線で疑似的にループを作ってバー・アンテナに誘導結合させても調整は可能).受信出来る限界値付近まで信号レベルを低減させ(そのために標準信号発生器と呼ばれるSSGがあると作業性が格段に向上する),その状態で音声信号が最も大きくなるように「黄色」「白色」「黒色」の各IFTのコアを調整する.慣れれば数分で終わる作業.

-トラッキング調整-
 小難しい理屈はさておき,これはラジオのダイヤル表示を実際の周波数に合わせて,受信可能周波数の感度を均等に高い感度にする作業.これも受信出来る限界値付近まで信号レベルを低減させることが必要.このポイントは「発振(OSC)コイル=基本発振周波数の調整」・「発振(OSC)トリマ=発振周波数幅の調整」ということ.中波なら低い周波数(525kHz付近)はコイルで行い,高い周波数(1600kHz付近)はトリマで行うことが基本

① 受信周波数
 最も低い受信周波数(525kHz)に選局ダイヤルをダイヤルを合わせる.525kHz・400Hzで30%の振幅変調をした信号が受信できるように,発振コイル(赤色のコア)を調整.

赤のコアは発振コイル
発振コイルで最低受信周波数を調整する
ラジオの周波数表示
594kHzの受信位置(調整前)
ラジオの周波数表示
594kHzの調整位置(調整後)

 最も高い受信周波数(1605kHz)に選局ダイヤルをダイヤルを合わせる.1605kHzで400Hz・30%の信号が受信できるように,バリコンのOSC側のトリマを調整し,これらの最低受信周波数と最高受信周波数を調整を複数回繰り返す.

ポリバリコンのOSCトリマ
OSC側のトリマで最大受信周波数を調整する

② 感度調整
 本来は最低受信周波数(525kHz)で最大感度となるようにフェライト・バーのコイル位置を最大感度となるように調整を行う.しかし市販品ラジオはフェライト・バーのコイルが接着されている場合が多く,簡易的に以下の作業を行う.
 750kHz付近(放送がされていない周波数)で400Hzで30%の振幅変調をした信号が最も聞こえる位置にバリコンのANT側のトリマを調整し,1100kHz付近(放送がされていない周波数)で最も聞こえる位置にバリコンのANT側のトリマを調整し,これらの調整を数度繰り返す.

ポリバリコンのANTトリマ
ANT側で感度を調整する

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