ナショナル DX-365の修理例

※ これはあくまで店主の事例です.真空管ラジオのメインテナンスは感電のリスクがあり,それなりの経験が必要です ※

-残念なキャビネット-
 本機は以前ジャンク品で購入したもの.状態を確認すると,キャビネットの全面部に欠けがあり,フロントパネルのビス/ナットが全て欠品.4個のつまみも欠品.シャーシも取り付けビスがなく単にキャビネットに入れてあるだけ…
 せっかくな重厚デザインを楽しめないのが残念.シャーシを外す際にダイヤル指針も紛失したのだろう.これが最も残念な欠品といえる.

残念なキャビネット
残念なキャビネット
DX-365の銘板
DX-365の銘板

-部品取りか修理か-
 シャーシは比較的奇麗(とはいえ,それなりの埃の堆積はある)な状態.そこで火入れの儀式を行い動作確認を行う(スピーカ・コードは経年変化でボロボロなので即交換).儀式は無事終了しハム音が聞こえ出した.これならばと,シャーシだけでも修理してみることとした.

DX-365のシャーシとスピーカ
DX-365のシャーシとスピーカ
経年変化で崩れた絶縁部
経年変化で崩れた絶縁部

-奇麗に見えたバリコンだが-
 まずは中波を受信してみると,約1100kHzより高い周波数のみ受信ができ,それ以下の周波数では「バサバサ」とノイズが入るだけ.注意深くバリコンの動作を見ると発振側のロータとステータが触れている感じがする.バリコン横のロックナットを外してロータ位置の調整を行い,低い周波数でも受信が可能となった.
 次に短波を受信すると,とても不安定な動作.バリコンのフレームに触れると動作が変化する.これはバリコンのアース不良に良く現れる症状. バリコンの取り付け部をよく見ると,ゴムのインシュレータが硬化しているだけではなく,溶けて流れている.これでプーリからの力が掛かってロータの軸受け部が接触不良となったのだろう.3個のインシュレータを交換してみると,短波の受信も問題が無い.
 一通りの清掃を行い調整を行う.ダイヤル指針がないのでバリコンの最大容量時(羽根が入った状態)の受信周波数は中波 520kHz/短波 3.6MHz(短波の最低周波数は無調整).受信最高周波数は中波 1620kHz/短波 12.6MHz.別なケースに入れて使うことも考えてみたい.

バリコンを外すと溶剤でインシュレータが溶けていた
バリコンを外すと溶剤でインシュレータが溶けていた
インシュレータを交換してロータ軸がフリーとなった
インシュレータを交換してロータ軸がフリーとなった

-インシュレータが溶けた理由-
 ロータとステータが触れて低い周波数の受信ができなくなり,そのとき大きなノイズが発生するので「ダイヤルの接触不良」と考えたのだろう.そしてCRC-556などの溶剤を含む潤滑剤を,フロントパネルからスプレーしたと考えられる.

-ナショナル DX-365の実力-
 本機は,電源と2段階の音質切り替え/音量/バンド切り替え/選局の4つ操作部がある.キャビネットは少し大きめなので,中低音のぬけがよく長く聞いていて疲れない音で,若干の残留ハムはこの時代の愛嬌.
 ハイインピーダンスーダンスのアンテナ・コイルが搭載されているので,1mほどのアンテナ線で木造家屋なら中波/短波ともに実用に使える感度で受信できる.

アンテナコイルはハニカム巻きのハイインピーダンス・タイプ
アンテナコイルはハニカム巻きのハイインピーダンス・タイプ

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