無印 ST管5球スーパー修復記 ①
※ これはあくまで店主の事例です.真空管ラジオのメインテナンスは感電のリスクがあり,それなりの経験が必要です ※
-メーカーと型名不明の5球スーパー-
片付けをしていたら,自宅の押し入れの中からST管 5球スーパーを発掘した.以前にオークションで購入したジャンク品がそのまま仕舞われていた.
開梱して状態を確認してみると,キャビネットには「Warner Radio」の文字があり,一瞬「舶来品かも?」 と期待を持ったがシャーシには銘板もなく型式など一切の記載がない.StarのIFTが搭載されいるアルミのシャーシを見て,物品税でラジオが高価だった時代に零細企業か個人が組み立てたものかも知れないと考えた.
–内部は土埃だらけ-
こうしたジャンク品は外装を拭いて出品されているようで,やはり内部は数十年の土埃や蜘蛛の巣などがある(虫の住処だったのだろう).まずはシャーシを外してキャビネットの掃除と水拭きを行う.キャビネットに付いている出力トランスのパスコンは本当に朽ちていた.
シャーシも土埃で灰色の状態.ダイヤル糸も切れておりダイヤル指針がぶら下がっている.キャビネットの内部で転がっていた整流管(80HK)は心なしかゲッターの銀色が無いように見える.バリコン羽根も土埃をかぶっており,そのままでは使えそうもない.
–取り付けられていた真空管-
6WC5(局発混合)/6C6(IF増幅)/6ZDH3A(検波と初段低周波増幅)がシャーシに取り付けられており,80HKはキャビネットに転がっていた.IF増幅段は本来リモートカットオフ管(グリッド電圧で増幅率を変えられる球)の6D6が搭載されるが,シャープカットオフ管(増幅率は一定)の6C6となっている.出力管の42は欠品(もしかすると6ZP1).
まずは真空管を奇麗に清掃して,ヒータ抵抗を計ってみる.ゲッターの銀色が見えない80HKは真空管試験器で確認したところ,とりあえずは使えそうな値を示した.6D6と6ZP1は手持ちが無いのでとりあえず探してみることに…
-今後の計画-
まずは動作に影響の無い範囲まで清掃を行うことから.その後,電源回りから動作確認を初めて,低周波増幅段 ⇒ 検波段 ⇒ IF増幅段 ⇒ 発振混合段の順で動作確認と修理を進めるオーソドックスな手法で粛々と進める計画.掛かる手間は予測できないが,納期とコストの制約がない趣味だからできることだろう.