無印 ST管5球スーパー修復記 ②
-このラジオの素性-
物品税でラジオが高価だった時代の零細企業か個人が組み立てたものか,とても器用な方が別のラジオのキャビネットに自作シャーシを組み込んだものかも知れない.
ダイアル・エスカッション(受信周波数表示)をよく見ると,KIKUSUI DANEPA(現在の菊水電子工業)と記載され本機は中波のモノバンド機だが短波のスケールが付いている.1960年頃まではこうした汎用のダイアル・エスカッションが販売されていた.
-ダイアル・エスカッションはラジオの顔-
メーカー製ではこうした汎用エスカッションはコストが合わず殆ど使われなかったと考えられる.しかし,これは時代の生き証人ともいえよう.このエスカッションは左右の照明からガラス板を透過照明することによって,文字を浮かび上がらせ,ダイアル指針の上部からの照明でダイアル指針も透過照明をする,とても凝ったもの.これは是非とも再生したいパーツ.
–ダイヤル・エスカッションの再生-
やはり60年以上の年月が経過しているので,糸掛けダイヤルのプーリなどを固着し一部にはさびも発生している.丁寧に分解して汚れを落としていく.ダイヤル糸が切れたときに,ダイヤル指針を捨てずに結んでいてくれたことに感謝.
エスカッションを分解してイソプロビル・アルコールでガラスの汚れを奇麗に清掃する.さびが出ている部分はさび転換剤で,これ以上の親交を止める.ダイヤル指針の摺動部とプーリなどを磨いてスムーズに動くように給脂を行う.
組み立て後に豆球を取り付けてイルミネーションを試してみると,ほのかな明かりでとても奇麗な周波数表示.このダイヤル・エスカッションを生かすラジオとして本体も整備していきたい.